かねふと美術
ドリームカラー作品集
F2号
KF張キャンバス(厚さ18mm程度)または薄いボールドキャンバス(厚さ4mm程度)に描いたアクリル画(原画)です。
A4用紙の三分の二ぐらいのサイズ240x190なので、手軽にご自宅やお店に飾ることができます。
ドリームカラー作品
カヤとケンタロウの姉弟は2階建てバスの一番先頭に座ってご機嫌。
「お姉ちゃん、ロンドンは霧じゃなかったね」
「ケンタトウ、昔は冬の暖房に石炭を使っていたから霧が出やすかったんだって」
「そうか、でも歩道に見えるのはロンドン名物のガス灯みたいだね。まだあるんだ」
そのとき妻のアサミと並んで座っていたタクロウが後ろからカヤに話しかけます。
「おやあカヤ、向こうに見える時計台はテームズ川のビッグベンかも知れない」
「いやあだあ、お父さんたら。この2階建てバスはピカデリーサーカスへ向かっているんだよ。
だから見えるはずがないよ」
「まあお父さんたら、相変わらず方向音痴なんだから」
「お姉ちゃん、ピカデリーサーカスには道化師も出るのかな」
「バカねえケンタロウは。
サーカスと云っても猛獣使いや道化師がいるサーカスじゃなくて、十字路の中央にある円形の広場のことだよ」
「ケンタロウもお父さんと同じでそそっかしいのだから」
そのとき街路灯が一斉に灯り、姉弟の期待に応えるように少しだけ霧が流れてきました。
霧中
D401
D402
Kent & East Sussex Railway(K&ESR)にも雪解け後の清々しい季節が訪れた。丘を見渡せば、風車が回り、羊たちが草をはみ、あちこちにブルーベルの花が咲き、その強い香りが辺り一面に漂っている。
そこに貨物を沢山乗せたK&ESRが誇る小さな蒸気機関車753号が近づいてくる。そしてトンネルに入ろうとしている処だった。
「あれはP Class No.753だね。なんか懐かしいよ」
「あのNo.753は、子供たちからPちゃんと呼ばれているんだ。今でも現役で、運転手さんたちは、子供たちを喜ばせようと整備に余念がないんだ」
「今度はPちゃんの客車に乗ってみたいなあ」
Pちゃんはトンネルに入る前に大きな汽笛を鳴らした。ぴぴぴーーーー
D403
日本の夏、蒸し暑い街中で暮らす人々にとって、休日は川へ遊びに行きたいものです。
ここは阿武隈川の河川敷、約5万本のヒマワリが咲き誇っていました。
先ほどから涼しい風が川面を伝わり上流に向かって吹き始めたところです。
河川沿いのヒマワリもゆらりと揺れ始めました。
そこへ二本の煙突から白い煙を吐く蒸気船「ミシシッピ」が現れました。
船の両脇にある水車を回して上流に向かう姿が優雅です。
この船にはモネとマネの姉妹が乗船しています。
「モネ姉ちゃん、川の両側には沢山のヒマワリが咲いているね」
「マネ。ヒマワリが川沿いに咲くこんな風景、今まで一度も見たことが無いよ」
「ヒマワリは漢字では日車と書くことあるんだって。姉ちゃん、知っていた?」
「ああそうなの。確かにこの船の水車と日車、形が似ているかもしれないね」
心地よい川風、ちょっと川面に照る日差しが眩しい。
イギリスのブルーベル畑、春になって約5万本の花が咲き誇っている。
その中をゆっくりと走る蒸気機関車のエドワード号。
終着駅のセント・メアリ・ミードには蒸気機関車の方向を180度回転させる回転台が無い。
だからエドワード号は反対向きで走っているのさ。
踏切に差し掛かると、トラクターのピーターが列車の通過を待っていました。
ここは遮断機のない踏切なので慎重に徐行します。
「おーい、エドワード。久しぶりだね。今年の冬はことさら寒くて出番がなかったみたいだね」
「ああ、ピーターおじさん、こんにちわ。
今日は遠く日本からたくさんの観光客がぼくに乗りたくてわざわざ来たんだよ」
「へえ、遠い日本からセント・メアリ・ミードまで来たんだ。それは凄いことだよ」
「満開のブルーベルの中を走るぼくのことがインターネットで話題になったんだ」
「そうかいエドワード。君の小さな体でたくさんのお客さんを乗せて走るのも大変だろう。
でも安全に気を付けてがんばりなさい。そして日本からのお客様を大いに楽しませるんだよ」
心地よい風が吹いてきた、そして春の日差しが眩しい。