かねふと文庫 気仙沼市舘山
わたしが小説を書き始めた切っ掛けは23歳から始まった海外勤務。最初の勤務地はテヘラン。ここで2年間過ごし、様々な体験をしました。
最新刊
守り人
星屑の事件簿Ⅴ 2022刊
西暦2000年、ミレニアムの9月末、鼎が浦市にある陣山ホテルのグランドフロアの奥にひっそりと構える「鼎が浦探偵舎」へ弁護士の小峠拓也とこのホテルのオーナーの加藤栄市が訪問した。
待ち構えるのは探偵のサナとその相棒マサの2人。拓也が持ち込んだ新しい仕事は、7年前に行方不明になった当時中学1年生の守畠月渚(るな)を3カ月以内に探し出すこと。
探偵のサナとマサは、迷子の猫を探し出したことはあっても、行方知れずの少女を探す依頼を受けたことは無い。
しかも警察が全力を尽くしても手掛かりは無し、それを7年後の今になって探し出すのは至難の業。
探偵の2人は当然断るものと思われたが、その成功報酬が500万円ときいて、がぜん張り切った。
「探偵は隠れている人を探す」
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大切な人に捧げる
「守り人」の序文より
昨年から続くこのコロナ禍の中で星屑の事件簿Ⅴ「守り人」がようやく出来上がった。物語の主人公はまだ21歳の女探偵サナ、美人だがすこし影がある。一方このシリーズの常連である北村京介は物語の後半ですこしだけ登場するだけ、ほぼサナとマサのコンビが全編で活躍する。
今回の事件の舞台は宮城県北東部の港町鼎が浦(気仙沼)、いつもは鼎が浦を代表する内湾を主な舞台とするが、今回は鹿折地区や本吉町津谷、それに上田中地区を物語の中心に据えている。
現実の世界では、わたしがここに住み始めてから5年が経ち、あの東日本大震災から今年の3月で丸10年となる。主人公のサナがこのまま鼎が浦に住み続けていたら、大震災のときは32歳で、今年は42歳、果たしてどんなサナに変貌していることか、もしかしたらブラウン大学へ復学して、そのままアメリカで住み続けているかもしれない。いずれにしても興味深いキャラクターだ。
この星屑の事件簿シリーズをこのまま続けると、どうしてもこの大震災を避けて通るわけにはいかない。事情が許せるのであれば、このままを書き続けたいものだ。しかしその野望の達成には、わたしの年齢との闘いが必要だ。3年前に化膿性脊椎炎を患って、西多賀病院に5週間も入院した。入院中も大変だったが、本当の闘いは退院後のリハビリにあったように思う。
わたしが書く本は基本的にロマンとミステリー、今回の作品はどちらかと云うとミステリーに偏っている。コミカルな話もいくつか散りばめたつもりだが、その芯はやっぱりミステリー。
読者の皆様にお楽しみいただければ幸いです。
木曽永介
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